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2005年07月の記事

はじめてのファミコン(卯月鮎) 2005-07-25T00:42

卯月鮎氏の単行本、はじめてのファミコン なつかしゲーム子ども実験室を購入した。以下は著者による紹介。

内容は、ファミコンを何も知らない、PS世代の高校生(企画開始当時は中学生)のまるやきくん(ハンドルネーム)に、詳しく説明せずに無理矢理ファミコンをやらせて、その反応を見るという企画。本サイトで2001年からスタート、その後、隔月刊誌「ユーゲー」で連載したコーナーをまとめたものです。

これを読んでいると、ファミコン時代に「意味不明の設定をやり過ごす」ことをどれほど日常的にしていたかよくわかる。またゲームプレイの「暗黙のお約束」がこの時期相当生み出されてきたのもまた確かなんだなぁとか。でも自分が意識してるよりもずっと広い意味で、昔のゲームと今のゲームって違うのだな、と感慨深く思ったり。また卯月氏の解説コメントが冴えていて、いちいちうなづいてしまうのだ。チョイスされてるソフトも話題にことかかぬ名作&迷作ぞろいで読み応えは抜群だった。

あと、プレイヤー側の環境の変化についてもいちいち納得してしまった。まるやきくんが『ファミスタ』の「くろまて」の元ネタを「クロマティ高校」だと勘違いしたりするのも時代を感じるが、なにより初代『ドラゴンクエスト』の「ふっかつのじゅもん」に出会ったときの彼の反応にのけぞってしまった。

卯月氏
『1』はセーブがないから、それがパスワードなの。
まるやきくん
うそぉ!めんどくせぇからケータイで写真とっとくか

「ふっかつのじゅもんがちがいます」の衝撃は、もはやあらゆる意味で過去の遺物ということか。まるやきくんに激しくジェネレーションギャップを感じてしまうのは僕だけじゃないだろう。とにかく彼の反応一つ一つが新鮮。強くオススメしておきたい一冊。

神奈川県知事ブログ攻撃はお門違いだ 2005-07-24T15:27

日本で初めてゲームソフト(グランド・セフト・オート3)を有害図書指定した神奈川県。その知事である松沢氏のブログが荒れている。1000を超えるコメント、TrackBack。ゲーム規制反対派の書き込み量がすさまじい。最初の方はまだ怒りを抑えた「質問」という形式をとっているものの、だんだんと「質問」よりも罵詈雑言の比率が高くなってくる。そのずさんさはamazonのゲーム脳レビュー欄の比ではない。あそこで批判の批判をしていたhiyokoyaさんの言葉が思い出される。

本書の研究水準が杜撰であることには間違いないのだが、それよりも、本書をろくに読みもせずに、ゲーム擁護派/ゲーム批判派、という図式に従う形で、反射的に批判/賞賛行為を行う人が多かったことのほうが私にはショックだった。私はゲーマーだが、もし本書の研究水準が信頼にたるものならば、本書を支持してもいいよ、というぐらいの器量を見せてくれる人がもっといてくれれば、と思う。(もちろん、その逆の人も)

過剰な反応はかえって理解者を狭めてしまう。今回の松沢氏のコメント欄にしても、「有害の根拠はどこにあるんだ」という批判点が大量に散見される。それを問うのは決しておかしいことではないし、気持ちもわかる。だが規制が松沢氏個人の偏見による勝手な暴走、であればともかくとして、議会という場で発言し受け入れられた結果としての規制である以上、彼一人に批判が集中しても事態は変わりはしない。そもそも彼個人への攻撃が議会決定を覆してしまったら、政治のあり方としてそれはそれで大いに問題だろう。

しかも無秩序な個人攻撃は別の局面でも問題を起こす。荒れ放題のコメント欄は「規制反対派のモラルの欠如」の一例として状況証拠にもなりうるものだし、「ブログ」という形でそれなりの頻度で情報公開を行おうとしている珍しい知事の意気を無駄にくじく。むしろ初めて規制に踏み切った県の議論を、松沢氏には積極的に公開していただきたい。それがきっちり続けられる方が、規制のあり方をめぐる今後の議論の土台が残る。

個人的な願望も述べておくと、青少年健全育成というテーマでゲームに絡むのであれば、有害「図書」規制の次の段階として、以前にも書いたゲーム読書感想文の普及を強く望んでいる。善悪という基準ではかれるものばかりではない、多様な影響の存在を僕は信じているし、知りたいと思っている。「害悪の封じ込め」で一手先を行く県ならば「素敵なものの発掘」でも先鋒を務め、さまざまな議論をもっと引き出して欲しい。

バトンの受理と近況の報告 2005-07-01T14:05

バトンリレーまたの名を不幸の手紙

えらく広がっている(ような気もする)Web版不幸の手紙的イベントであるvideogame-battonとmusic-battonがsamonaさんのところとmixiという治外法権地帯から回ってきた。

まわってこないことに対するhiyokoyaさんの寂しげな文章にかげながら共感していた僕なわけだが、回ってこないのに触れたら負けだという恥ずかしすぎる見栄を張っていたわけだ。しかしブームがすでに終焉しつつある雰囲気の中でお鉢がきて激しく困惑する始末。

で、まあせっかく質問返答用のディレクトリが作ってあるわけだし、そこでまとめてBatonへの返答文書を書いてみた。毎年書き足してみたりまわしてみれば、気分の違いが出ていいかもしれない。

近況

ところで最近ひどく更新が遅いけれども、個人的に家庭用ゲームソフトのデータベースを設計中。色々な方がリストを公開しているが、

といった状況で、プラットフォームそれぞれよりもビデオゲームの全体的な状況を把握したい時にはいまいち不便だと感じた。で、それらをまとめて操作可能なデータベースにしようと奮闘中。面倒なのが公開時の実装をどうするかってところ。

表示条件の複数項目による指定はPerl/CGIで組むとして、鯖の負担を下げるためには簡単なソートはJavaScriptに回す。そこで一HTML文書に落とし込むのはどのくらいのサイズが的確か悩んでいるが、年度別でいいかと思っている。

まあ大体の実装が済んだらさっさと公開して、ちょくちょく手直しすることにする。ハードウェアのデータも以前公開したままだし、連携させてうまく使っていきたいとこだ。

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updated:2005-07-25